闘病記とまではいきませんが、自分の経験をここに記します。
術後の入院生活
座位がNGなので、基本寝ています。飲食も歯磨きも横になりながら行います。毎朝、先生たちが傷口の消毒とガーゼ交換で回ってきます。代り映えのない毎日です。傷の癒着などを防ぐために歩くよう促されます。横になっている状態から立ち上がるので、立ち眩みを起こすこともありました。自由に動けないので、ちょっとしたことでも看護師さんにお願いしなくてはならないのは精神的につらかったです。それが看護師の仕事と言われても。
一番きつかったのは、直腸バルーンの存在でした。『踏ん張ったりするとすぐに抜けるから気を付けて』と言われ、抜けてたりしないか、漏れていないかなどの不安もあり、物理的な痛みもありでとにかく嫌でした。
術後1週間・・・創部開放
生着具合を確認するため、創部を開放します。タイオーバーと言って大きく丸めたガーゼで圧迫固定してあります。肌に“直に”止めてあります。それを外す=医療用ステープラーを外す(抜鉤)ということです。抜鉤は痛くないと書いているブログもありましたが、人、部位によると思います。外陰部はめちゃくちゃに痛かったです。ここで傷の状態がよければ直腸バルーンも抜けたのでしょうが、この日は留置となりました。
術後9日目・・・開放
この日はオペ担当の先生も一緒に朝の回診に来ました。そこで一言「抜いちゃえば?」。直腸バルーンを抜くことになりました。嬉しかったです。ただ、これがなくなったことで、排便したくなったら看護師さんを呼んで、一緒にトイレに行き、排泄物を確認してもらい、部屋に戻ったら陰部の洗浄をしてもらうことになりました。
術後2週間・・・抜糸の予定
抜糸の時期でしたが、滲出液がまだ多いので抜糸はできず、尿道カテーテルも留置となりました。先生曰く、この部位は血流が難しく、思い通りにいかないそうです。
術後18日・・・抜糸!
抜糸してカテーテルを抜きました。抜糸、痛かったです。皮膚切ってるんか!?と思うくらい痛かったです。そして翌日退院になりました。色々急に決まりすぎて大変でした。採皮部の太ももはまだ皮膚保護剤で覆われています。
退院後の生活
傷口の処置を自分で行います。カデックス軟膏を生理用ナプキンにベタッと付けて使用します。トイレの度に付け替えます。採皮部の太ももは皮膚保護材に覆われているため、そのままにしていました。
退院して1週間後に、外来で残っている部分の抜糸と採皮部の確認を行うことになりました。抜糸はそこまで痛くありませんでした。太ももは上皮化できていない部分が残っていて、そこが化膿しており、覆っていた皮膚保護材を剥がすのがとても痛かったです。その日から自分で太もものガーゼ交換もすることになったのですが、毎度脂汗をかきながらガーゼを剥がしていました。
その後発熱があり受診したのですが、その時に傷にくっつきにくいガーゼを教えてもらいました。なぜ最初に教えてくれなかったのかは疑問です。
重要なお話
処置後、主治医から言われたのは《断端陽性》ということでした。通常、がん細胞から十分な余白をとり切除するのですが、切り取った端まで陽性になっており、体の方にがんが残っている可能性があるという話でした。追加切除か、化学療法か、経過観察か考えてきてください、と言われました。がんとの闘いはこれからも続く!
断端陽性、どうする?
決め兼ねていました。皮膚科の先生は追加切除を勧めていました。
- 追加切除・・・麻酔が切れたトラウマ、入院つらい、抜糸痛すぎる、など。
- 化学療法・・・副作用が怖い、金額がどれだけかかるのか、など。
- 経過観察・・・がんが残っていなければいいけど、残っていたらどこまで悪化してしまうか不安。
悪い点ばかりを考えてしまってなかなか判断できず、放射線治療はどうなのか聞いてみました。外陰部ということで、放射線の影響で不妊になるかもしれないし、放射線の先生がやってくれるか分からないけど、紹介はできる、とのことで放射線科に相談に行きました。
放射線科にて
現在の状況が放射線治療が適応になるのかの確認と、今後妊娠はできるのか聞いてみました。
照射するとしたらごく狭い範囲になります。深さも皮膚に届けば良いので、子宮や卵巣まで届かない、ごく浅い照射を行うので妊孕性は温存できます。
そうなんですね!よかったです。副作用はどんなものが考えられますか?
副作用としては、皮膚炎、排尿時痛、排便時痛、膀胱炎などが挙げられます。
治療の流れを教えてください。
30回照射を行います。平日のみなので、約1か月半通院してもらいます。週に1回医師の診察があります。
照射が終了したら定期的に診察を行います。
と色々お話を聞いて、痛みは何を選んでも一緒だし、それなら入院のない方が良いかなということで、放射線治療をすることに決めました。
放射線治療、始まる
放射線治療が始まりました。
1回目
まず、照射する位置を決めます。毎回正確な場所に照射しなければならないので、かなり細かくベッドの位置や高さ、患者側の体勢を決めていきます。少し時間がかかりました。
2回目~
初回に決めた位置や体勢を整えるだけなので、着替えから終了まで10分もかかりませんでした。5回目頃から照射部位がむずむずするようになってきました。
10回目~
副作用が強くなってきました。膀胱炎のような症状で、頻尿、排尿時痛が出てきました。
16回目~
医師の診察時に、照射部位が炎症を起こしているので、アズノール軟膏を処方してもらいました。トイレの後やシャワーの後に塗っていると、排尿時痛や頻尿が軽くなりました。
20回目~
皮膚の痛みが激しくなり、歩くのが苦痛になってきました。立っているだけでも痛いです。痛み止めも気休め程度にしか効かず、できるだけ安静にしていました。
後から気付いた副作用
25回目頃に気付いたのですが、放射線治療を始めて1~2週間ごろから尿漏れを起こしていたようです。通常のおりものシートでは間に合わないくらいの水分が出ていて、最初はおりものの量が増えたのかな?くらいに思っていました。
しかし気付けば頻尿が無くなっていたし、尿意も感じにくくなり、排尿時には力まないと出なくなっていて、これはもしかして、と思い医師に相談すると、『膀胱がダメージを受けていて、尿が溜まった刺激などで過剰に収縮を起こして尿が出てしまっている、過活動膀胱の状態になっている』とのことで薬が処方されました。
30回終了
放射線の照射は終わりましたが、副作用は1~2週間は続きました。
痛みが治まって2週間後にまた放射線照射部に痛みが走りました。じっとしていても痛くて、尿漏れも再発しました。おそらく、皮膚の炎症が治まっていない状態で雑菌が繁殖し、皮膚がただれてしまったのでは?ということでした。この痛みは約1か月半続きました。
治療を終えて、最後に言いたいこと
手術を終え、放射線治療を終え、一旦この外陰がんの治療は終了です。2年前の出来事ですが、まだまだ通院は続くし、いつか再発するのか、どこかにがんが見つかるのかはなんとも言えません。
外陰がんは通常の産婦人科だと発見できない可能性があります。実際、外陰部にできものができてから、かゆみがあったり、おりもののにおいが気になったりで産婦人科にかかりましたが、カンジダの治療薬や膣錠を処方されて終わりでした。場所が場所だけになかなか行きにくく感じるかも知れませんが、皮膚のできものは皮膚科に診てもらうことが大切です。早期発見できれば簡単な手術だけで済むこともあります。
最後に、皮膚は皮膚だけど、外“陰部”なんだから産婦人科でも診断してくれるようになると嬉しいです。診断が難しければ、皮膚科への紹介状を出してくれるとか。『皮膚科にも診てもらってね』と言うだけでは行かない人の方が多いでしょう。だって産婦人科で問題があると診断されていないなら、問題ないなら受診しない、と素人の患者は判断します。他科のクリニック同士の横のつながりが増えて、患者側に提示されると良いかなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。